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北東北・道南桜前線旅行 4月29日編 〜2007年、津軽は未だ昭和だった〜

4月29日

目が覚めた。時刻は4時半頃。自分が起きてまもなく列車は鶴岡に停車、数人降りていった。こんな朝早くに下車しなければいけないのは結構きついだろうな・・・。その後余目・酒田と停車する頃には太陽が顔を出した。自分は羽越本線は絶対に日本海側がいいと思っていた。どうせ内陸側に大した見所なんてないだろ・・・と思っていたのだが、太陽が昇ってくるとそれは大間違いであることに気づいたのだった。羽越の山々の向こうから徐々に太陽が顔を出すと、水田に太陽の光が反射してなんともノスタルジックな風景が展開される。おそらくこんな素晴らしい光景は日本海側の部屋だったら味わえていなかっただろう。しばらくすると鳥海山が見えてきた。堂々とそびえ立つその姿はまさに羽越地方の象徴。太陽に照らされた鳥海山とオレンジの風景にただただ見入るばかりであった。

鳥海山

酒田を出ると列車は遊佐、象潟、仁賀保とこまめに停車し乗客を降ろしていく。象潟を出ると陸地に小島のような丘が点々としている。この辺り一帯は1804年の象潟地震で地表が隆起し、一夜のうちに海に浮かんでいた松島が陸地になったという。次ここを通る時は絶対に途中下車してみたい。反対側の景色の良さはよく知っているので今回はこちら側に乗車してよかったのかもしれない。

羽後本荘を出ると次は秋田。部屋から出てデッキから反対側の景色を眺めてみる。ずっと海岸線が続いており気持ちよさそうだ。さすが日本海を代表する区間である。部屋に戻り外を眺めていると徐々に人家が増えてきた。橋を渡ると秋田に到着。向こうには秋田新幹線の姿も見える。久々の大きな駅でかなりの乗客が下車し、また立ち売りの駅弁屋で朝食を買う人達でホームは賑わっていた。

秋田を出ると車内が賑やかになった。どうやら立席特急券で大勢乗車してきたようだ。八郎潟・森岳と人がパラパラ乗車し、その活気に押されて寝台の客も起きはじめた。自分も身支度をしているといよいよ列車は秋田県から青森県に入った。途中の白沢〜陣場間にあるトンネル出口は鉄道撮影のメッカで、やはり一人写真を撮っていた。まったりすること9時17分、寝台特急「あけぼの」は定刻に弘前に到着、自分達は下車し五能線の普通列車に乗り換えた。

岩木山

弘前を出た普通列車は川部で進行方向を変える。天気は気持ちいいほどの青空。車窓にはリンゴ畑が広がり、その向こうには岩木山が堂々と構えている。これが青森の風景か・・・。川部から約30分で五所川原に到着。ここからは日本最北の私鉄である津軽鉄道に乗り換えだ。普段は単行ワンマンのディーゼル列車も、芦野公園で桜まつりが開催中ということで2両に増結され車掌も乗務していた。太宰治の故郷である金木を過ぎ芦野公園で下車。広前付近では桜が満開だったので期待していたのだが、まだ五分咲きほどでちょっとガッカリ。しかし結構な人出で屋台も賑わっている。焼き鳥を何本か買い込んで食べながら公園を散策、広場で素人コンサートを聞きながら少し休憩して再び駅へ。

芦野公園

駅で列車を待っていると踏切が鳴り始め、遠くからかわいい機関車とそれに続く客車が姿を現した。そう、今日の主目的の一つである津軽鉄道の客車列車だ。大量の下車があり閑散とした車両に早速乗り込むと、そこには温かみのある空間が広がっていた。なにせこの車両が製造されたのはなんと昭和29年。床や椅子が全てニス塗りの木製でまさに動く化石といったところか。扉も自動ではなく自分で開けるタイプである。博物館にあるものをそのまま持ってきたような車両に感動。狐氏もこれにはビックリするばかり。窓を開けてローカル列車に乗りながら奥津軽の風景を満喫する。ほどなく終点の津軽中里に到着。駅に隣接しているスーパー以外何もない、ずいぶん中途半端な終着駅といった感じ。本当はこの先の小泊を経由して津軽線の終点である三厩まで延伸する予定だったとか。確かに小泊まででも伸びていたら多少何かが変わっていたのかもしれない。

津軽中里

機関車の付け替え作業を一通り見学し、折り返しの客車列車に乗車した。復路も再び窓を開けて景色を眺めるのだが風が強い。このあたりは冬は地吹雪で有名な場所。車内にある小さなダルマストーブが冬は大活躍するのだろう。芦野公園で大量の乗車があり、一気に車内は満席に。金木で対向列車と交換し、のんびりと五所川原へ向かう。五所川原に到着した瞬間に出口へ猛ダッシュ。青森行きのバスとの乗り換え時間が2分しかないのだ。自分達が乗り込むとすぐにバスは発車した。

さすがに疲れがきたのかウトウトしていたらいつの間にか大釈迦駅通りに到着。運転手さんに「降りないの〜?」と声をかけられあわてて下車。大通りを歩いて駅に到着すると強風で対向列車が遅れているというアナウンスが。自分達の乗る列車は定刻に到着したものの、遅れている対向列車を待つためにそのまま10分ほど停車。その後川部で強風に引っかかり結局20分ほど遅れて弘前に到着した。ずっと立ちっぱなしだったのでややグッタリ。

駅から弘前城までの直行バスが出ていたので早速乗り込む。かなり道路が混んでおりなかなか進まない。本当に交通規制してるんだろうか・・・。結構な時間をかけてようやく弘前城前に到着。満開の桜が出迎えてくれた。弘前城は全国でも有数の桜の名所。城内に入ると圧倒されてしまった。天守閣に登ったりして一通り桜満開の城内を散策し、屋台が軒を連ねる場所へ向かうとそこには今では見られないような光景があった。なんというか、昭和である。屋台の内容などが明らかに一昔前だ。平成の世にまだこういう光景が残っているという事実にビックリし、感動した。

弘前城1

弘前城2

弘前城屋台

弘前城堀

城から歩いて駅へ戻る。しかし途中で道を間違え、結局40分以上かかってしまった。普通列車で青森へと移動した頃にはすっかり暗くなっていた。しかし青森に着いたはいいがまだ乗車予定の夜行列車の時間まで2時間半以上ある。待合室でずっと待っているのは面白くないので駅を跨いでいる青森ベイブリッジを歩いて渡ってみることにした。西口を出てライトアップされたベイブリッジを歩きながら青森駅を写真に撮ったりしつつ駅の東側へ。その後市街地のラーメン屋で店のおばちゃんと話しながらラーメンを食べ駅へ戻る。青森駅は奥羽本線・東北本線・津軽線からの列車が一同に集うため、夜でも非常に賑やかである。そのため待合室でずっと待つのではなくさっさと改札を通り、ホームや跨線橋から列車を撮って過ごした。かつて青函連絡船乗り場へと続いていた跨線橋はまだ残っており、往時の雰囲気を今に伝えている。

青森ベイブリッジ

青函連絡船

22時10分過ぎ、いよいよ札幌行き夜行急行「はまなす」が入線してきた。この日はGWということもあってか10両編成とかなり増結されていた。しかし寝台は満席ということでなかなか盛況のようだ。それに対して自由席は客もまばら。そりゃ確かに+300円でグリーン車を使ったドリームカーに乗車できるのだから当然かもしれない。しかし自由席は空いているので、前の席を回転させて一人でワンボックス占有できることを考えるとあまり変わらないかもしれない。自分達も早速席を回転させてリラックス。

はまなす青森

青森を発車した「はまなす」は構内の複雑な配線を渡り津軽線に入った。普段は単線なのでしょっちゅう交換待ちがあるのだが、さすがにこの時間になると列車密度も低くなるのかスムーズに蟹田に到着し運転停車。その後JR東日本とJR北海道の境界駅である中小国を過ぎてしばらくすると、列車はポイントを渡り高架線を走り始めた。いよいよ海峡線に入ったのだ。高規格の線路をスイスイ走り、長い汽笛と共にトンネルに突入すると青いライトが二回見えた。青函トンネルに入ったのだ。起きていようと思ったのだが、さすがに単調なトンネルの壁を見ていたら眠ってしまった。

起きると列車は暗闇の中を走っていた。遠くにはネオンの明かりが見える。きっとあれは函館市街だ。自分は函館で降りるための準備を始めた。1時13分函館到着。意外と大勢の人が下車した。ここで機関車の付け替えが行われる。狐氏はこのまま札幌まで乗車するので見送った後肌寒いホームを後にした。しかし自分は1時間半後にまたこのホームに来るのだが・・・。

函館駅

改札を出ると、自分も乗車する上りの「はまなす」や翌朝の寝台特急「北斗星」(函館から立席特急券で乗車可)を待っていると思われる人や明らかに列車待ちではないと思われる人など、結構な人がベンチに座っていた。近くのコンビニで食材を購入してから自分もベンチに座り休憩する。2時30分頃、上り「はまなす」の改札が始まった。早速ホームへ向かう。自分が使っているのは青森・函館エリアの急行・特急自由席まで乗り放題のフリーきっぷ。要するに函館で「はまなす」を折り返すことによって宿代を浮かせたわけである。

はまなす函館

2時45分、定刻に「はまなす」がやってきた。機関車付け替えを写真に撮って車内に乗り込むと、やはり上りも自由席は空いている。周りに配慮しながら席を回転させ、これで寝る準備はバッチリだ。3時ちょうど、函館を僅かなショックと共に発車した。明日は結構なハードスケジュール。さっさと寝て体力を回復しておこう。


4月29日のルート
弘前(9:17/9:24)→五能線普通2826D→五所川原(10:09/10:30)→津軽鉄道普通列車→芦野公園(10:56/12:08)→津軽中里(12:22/12:43)→五所川原(13:28/13:30)→バス→大釈迦(14:01/14:20)→奥羽本線普通656M→弘前(14:49/18:49)→普通663M→青森(19:49/22:45)→津軽海峡線夜行急行「はまなす」→函館(1:13/3:00)→青森(5:35)(30日)

次回は4月30日の模様をお送りします。マタギの里を越えて武家屋敷の街へ。

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