4月30日
朝焼けの海が見える。どうやら蟹田付近を走っているようだ。まもなく蟹田に運転停車。JR東日本にの乗務員?が大勢乗り込んできた。ボーッとしているうちに青森に到着。向かい側にはこれから乗車する特急「いなほ」8号が停車していた。
青森を発車して列車は奥羽本線へ入った。早朝にしては乗客が意外と多い。やはり秋田より先の酒田や新潟へ一本で行けるというのは大きいのだろう。弘前で更に乗客が増え、その後はちょこちょこ停車駅ごとに乗り降りがある。意外と短距離の利用も多い。7時25分鷹ノ巣に到着。ここからは第3セクターの秋田内陸縦貫鉄道に乗り換えだ。
JRとは別になっている秋田内陸縦貫鉄道の駅舎内でホリデーフリーきっぷを購入。2000円で急行列車まで一日乗り放題となる。鷹巣〜角館の運賃が1620円ということを考えると非常におトクな切符である。発売日は土休祝日のみだが、もし秋田内陸縦貫鉄道を満喫したいなら是非オススメだ。列車を待っていると次から次へと人がやってくる。家族連れが多く、やはり角館の桜を見に行くようだ。
改札が始まったのでホームへ。8時過ぎに列車が入線してきた。鷹巣から角館まで行く場合、普段なら途中の阿仁合でこの列車から急行「もりよし」に乗り換える必要があるのだが、なんとイベント用車両を使用した三両編成でやってきた。角館桜シーズンということで期間中は阿仁合から急行「もりよし」に化けるダイヤで運転し、角館まで乗り換えなしで行けるようにしているようだ。こういった乗客への心遣いは素晴らしい。列車は三両編成にも関わらず満席で角館へ向け発車した。
早速席に座る。一番前がフリースペースになっているので若干見づらいが前面展望も可能だ。角館を出ると列車は早速山へ向けて進路をとり、合川を出ると早速急勾配を登りはじめた。角館〜比立内間は国鉄時代に開業した区間なので急カーブが連続し、なかなか速度を出せないままのんびりと各駅に停車していく。小さな集落が点在し、時が止まっているような沿線風景が続く。おそらく昔は林業で栄えていたのだろう。途中から阿仁川が寄り添い、徐々に近くなってくると阿仁合に到着。ここからこの列車は急行「もりよし」となって角館まで運行される。
20分停車ということで外へ出て息抜き。駅舎に入ってみると食堂があるではないか。朝から何も食べていないので何か食べようか考えていると「馬肉丼」という面白そうなメニューが目に入った。おばちゃんにすぐ出してもらえるか聞いてみると大丈夫ということで注文してみた。確かに噛み応えがあって他の肉とは違う。しかし旨い。なかなかの当たりメニューだった。他にも面白そうなメニューがたくさんあったので、秋田内陸縦貫鉄道に乗車される際は是非立ち寄ることをオススメしたい。おばちゃんと軽く会話しながら食べ終わって一服しているともう発車3分前。あわてて列車に戻った。

阿仁合を出るといよいよ険しい山々が両側から迫ってきた。ここから列車は急行になったので主要駅以外は通過して角館へ向かう。途中からは線路脇に雪が残り、気象条件の厳しさを物語っている。木々の中を進むことしばらく、急に視界が開けると比立内に到着。旧国鉄阿仁合線の終点だった駅で高原駅の雰囲気が漂う。ここから松葉までは新しく開業した区間である。
比立内を出るといよいよ列車は森吉山の麓を走りぬけ角館側へ。非常に高規格な線路を先程までとは打って変わってフルスピードで快走する。かつてこの地域には集団でクマやカモシカなどの大型獣を捕獲し、自然と共に生きる「マタギ」という人々がいた。連続するトンネルの合間からは大自然と共に生きたマタギの里、そして人間を拒むような険しく厳しい奥羽と出羽の山々の姿を見ることができる。

阿仁マタギを出ると列車は秋田県内最長の十二段トンネルに突入した。かつての難所であったこの峠を直線的なトンネルで一気に越える。トンネルを抜けるとついに角館側へ入ったようだ。先程まで列車の進行方向とは逆に流れていた川が今は同じ方向に流れている。松葉から先は旧国鉄松葉線として開業していた区間に入り、線路規格も落ちるが列車はほとんど速度を落とさずに下り勾配を駆け抜ける。角館の手前の八津に停車。ここのカタクリも見頃になっており、そのための臨時停車でそれなりに下車があった。
八津を出てしばらく進むと「本日角館の桜の開花状況はは満開となっております」という車内放送が入り喜びの声があがる。ふと左から田沢湖線が寄り添ってきた。さすが秋田新幹線が走るだけあって、こちらとは違い随分規格の高そうな線路だ。併走することしばし、終点の角館に到着。駅前はかなりの賑わいとなっていた。
駅前で観光マップをもらい早速徒歩で行動開始。桜の名所は駅から少し離れた場所にあるので足の弱い人は自転車やタクシーを使ったほうがいいかもしれない。10分少々歩くと一際賑やかになってきた。川に到着すると思わず息を呑んだ。河川敷にどこまでも続く桜。本当に満開だ。そして晴天の向こうには山々が・・・ああ、来てよかった。

早速川沿いを歩く。桜のアーチが素晴らしい。自分の地元には桜並木があり、満開の時期はなかなか綺麗なのだがここはそんなレベルではない。どこまでも続く桜並木をどこまでも歩いていたい気分であった。
ある程度歩いて武家屋敷通りへターン。途中屋台がたくさん出ていたのできりたんぽを購入。初めて食べたがなんともモチモチしていて旨い。味噌味を食べたが意外とあんこ味とかもいけそう。武家屋敷街はかなりの人混みであった。しかししだれ桜と木造で味のある屋敷は本当によく似合う。これで人が少なければもっと最高なのだがそれは無理な注文。これだけいい景色なんだからそりゃ人も大勢来るだろう(自分含む)。一般公開されている屋敷に入ってみたりして角館を満喫した。

一通り観光も終わって適当な店で蕎麦を食べようにもちょうど昼時でどこの店も列ができている。仕方ないので桜ソフトクリームを購入し、暑さをしのぎながら駅まで歩いた。角館からは臨時快速「弘前お城と桜号」に乗車して弘前へ戻る。この列車は鷹巣からJRに直通して弘前まで運行される便利な列車でかなりの混雑であった。急行「もりよし」で使用される車両が充当されており、前面展望が可能ということで一番最初に並んでいたのだが、なんかドサクサに紛れて2人に割り込まれちょっとイライラ。まあ一番前に座れたからいいけど。
八津で結構な客の入れ替えがあったもののかなりの混雑。しかし行きとは違いあまりスピード感がない。快速と急行の差だろうか。阿仁マタギ付近からウトウトしているといつの間にか阿仁合に到着していた。ここで対向列車を待つため小休止。
阿仁合を出て山を下る。下り勾配と急カーブということで運転士もブレーキの込め緩めを繰り返して慎重に列車を進める。やはり迫り来る風景と運転士の動作が見れる前面展望は面白い。阿仁川が離れてしばらく進むと鷹巣到着。下車客が降りるとJRの運転士と保線係?の人が乗り込んできた。ここから共同作業で現在停車している縦貫線ホームからJRホームへと列車を移動させるのだ。まず縦貫線の運転士が一旦列車をバックさせてポイントの手前で停車、保線係の人が線路脇にスタンバイしている人と旗で合図を送りあうと、ポイント脇にある機器を回して手動でポイントを切り替えた。ほとんどが自動化された今では珍しい光景に皆注目。ここからはスタンバイしていたJRの運転士が最徐行でJRホームへと列車を移動させ、改めて客扱い。30分ほど停車してからJR線を走り弘前へと向かう。

鷹ノ巣を出ると奥羽本線を快走する。普段この区間で前面展望のできる列車はないので新鮮だ。すれ違う列車も特急「かもしか」や寝台特急「日本海」2号などバラエティに富んでいる。運転士がかなり頻繁に警笛を鳴らすので後ろの客が眠れないとボヤいていた。

弘前に到着したがまだやらなければならないことがある。ここから黒石まで伸びている弘南鉄道黒石線の乗り潰しだ。やってきた列車に乗り込むと何かがおかしい。あれ?オレなんか忘れてるような・・・。サーッと血の気が引いた。大きいリュックを網棚に置いたままだ。すぐに飛び出してJRの駅事務室へ。事情を説明すると車庫に電話で確認してくれた。すでに先程乗っていた車両は車庫に引き上げてしまったので届くのに少し時間がかかるとのこと。お礼を言って駅前で時間を潰すことにした。しかしもし明日になっていたら角館まで荷物が運ばれていたかもしれない。すぐに気が付いてよかった・・・。30分ほどして駅事務室に向かうと荷物が届いていた。改めて深くお礼を言い再び弘南鉄道のホームへ。目の前で列車に行かれた。次は30分後かよorz

その後なんとか乗り潰しを終え、弘前に帰ってきた時には時刻はすでに9時前。今日宿泊するカプセルホテルへ歩いていこうかと思ったのだが、過去何度も歩いていこうとして迷った経験があるので無理をせずタクシーを使った。意外と距離があり、しかも道が複雑だったのでこの判断は正解だったと思う。
自分は今回はじめてカプセルホテルに宿泊したのだが意外と快適であった。値段も安いし滞在時間が短い場合はこういうのもアリかなと思う。しかも温泉がついており、汗も流せて非常にリラックスできた。さて、明日はこの旅行のメインだ。ゆっくり寝て疲れをとっておこう。
4月30日のルート
青森(6:07)→奥羽本線特急「いなほ」8号→鷹ノ巣(7:25/8:15)→秋田内陸縦貫鉄道普通11D〜急行「もりよし」1号→角館(10:40/14:08)→快速「弘前お城と桜号」→弘前(18:07/19:30)→弘南鉄道普通列車→黒石(19:58/20:20)→弘前(20:48)
次回は5月1日の模様をお送りします。神秘の池に魅せられて・・・。