駅の待合室で始発列車まで時間を潰す。まずは室蘭本線の普通列車で岩見沢へ向かうとしよう。沼ノ端を出て千歳線と分かれ北東へ。現在この区間は完全なローカル線だが元々は貨物列車が頻繁に行き交う幹線だったため、大きな駅が多く往時の活気を想像させる。平野部の東端を走るため見晴らしは良さそうだが本日は生憎霧が出ていて残念。途中から学生がどんどん乗り込んできてラッシュ状態で岩見沢に到着、711系の普通列車に乗り換えて滝川へ。去年の10月に北海道が電化された当時から走り続けていた781系が引退してしまったが、781系と共に急行や普通列車として走り続けている711系はしばらくは残りそうだ。
「岩見沢駅にて」

滝川では乗り換えに時間があるためやってくる列車の写真でも撮ろう・・・なにかおかしい。やばい、三脚をさっきの列車の中に置きっぱなしだ!しかしさっきの列車は既に車庫に入ってしまっている。あわてて改札の駅員さんに尋ねてみるとさっき届いたとのことでお礼を言って受け取る。よかった・・・。しばらくすると自分の乗る列車がやってきた。今日のメインは滝川から釧路までをなんと8時間もかけて走る長距離鈍行列車である。発車時間が近づくに連れ徐々に車内も混み始めた。富良野へ観光に行く人が大半のようである。ほぼ座席も埋まり9時38分、列車は定刻に308.4キロ離れた釧路へ向けゆっくりと動き出した。
滝川の市街を抜けて山の中へ。赤平や芦別といったかつては炭鉱で賑わった街を進む。閉山後様々な方法で活性化を図っているようだがやはり過疎化が著しいようで街にはいまいち活気がない。客の乗降もほとんどなく、ほぼ全員富良野まで乗車するようだ。長いトンネルを抜けるといよいよ富良野の市街が見えてきた。坂を下り鉄橋を渡ると左から富良野線が寄り添い富良野に到着、ほとんどの人が下車していった。この時期富良野はラベンダーのシーズンなので駅構内はかなり混雑している。停車時間が20分程あるため自分も下車客に混じって改札横の売店へ向かい、目的の物を見つけ即購入。列車に戻ってくるとちょうど増結作業が行われるところであった。富良野線のホームは列車待ちの人で混雑しているがこの列車に乗る人は少なく、増結したため尚更車内は閑散となった。さっき購入した駅弁「ふらのとんとろ丼」を食べるとしよう。うむ、半熟卵と豚トロの絶妙なハーモニー。噂に違わぬ美味しさだ。
富良野を発車していよいよ列車は北海道を二分する狩勝峠を越えにかかる。山部を過ぎるといよいよ山が線路の両側に寄り添い本格的な山岳路線の様相を呈してきた。一歩一歩踏みしめるようにカーブを曲がりながら確実に山を登っていく。さっきまでの曇り空もいつの間にか青空へと変わり、山の木々が光に照らされて眩しいくらいに輝きはじめた。金山付近からは金山湖が見え、車窓に彩りを添えてくれる。広大で整った平野部の風景はまさに北海道だが、人家が全くない山・川・青空という絶妙なコントラストもまた北海道の風景である。途中の幾寅には駅前に映画「鉄道員」ロケセットが残り、観光客と思われる人が何人か下車していった。さらに山道を登り落合に到着。対向列車待ちのためしばらく停車するため外に出て写真を撮る。やはり乗客の大半は鉄道好きのようで、皆思い思いに写真を息抜きをしていた。やがて対向列車が到着し、いよいよ峠のサミットを越えにかかる。
「金山湖」

「落合で小休止」

旧線跡を横目にトンネルをいくつも抜けながら山の中を走る。やがて木々の向こうにチラっと石勝線が見え、トンネルの中にある上落合信号所で合流。長い登り坂が終わり、ここからはいよいよ道東の玄関口である新得へ向けて下り始める。トンネルを抜けると遥か遠くに新得の街が見えてきた。ゆるやかな斜面をカーブしながら高度を稼ぎつつ高速で新得の街へと降りていく。この区間は北海道のスケールを感じることができる屈指の車窓である。生憎曇ってはいるが、晴れた日には遥か遠くの太平洋まで見渡せる時もあるという。皆さんも北海道を旅行する時は是非この区間を通ってほしいと思う。
「遠くに十勝の街並み」

長い下り坂が終わり新得に到着。先程までの険しい山道から一変、ここから列車は十勝平野・釧路平野と平野部を進んでいく。帯広へ向かう客が多いため車内に再び活気が戻ってきた。帯広が近づくにつれ再び青空が広がり始めた。真っ青で突き抜けるような「十勝晴れ」は自分の疲れや眠気を完全に吹き飛ばしてくれた。帯広では隣ホームの池田行き普通列車が先発するため乗り換えれば池田までは先行できるのだが、結局そこから先へ進むためにはこの列車に乗ることになるため30分程小休止。一旦改札を出てトイレ等を済ませて戻ってくると車内には綺麗なほど人がいない。結局乗客は数人で発車。空いているのをいいことにボックスシートを貸切状態で寛ぐ。青空の中平野部を駆け抜けて池田、そして浦幌に到着。地元客が降り、車内に残るはほぼ旅行客のみとなった。
浦幌から先はまさに最果ての車窓だ。まず人家がほとんどない。またこのあたりは日照率も低く地質もあまり良くないようである。途中駅でポツリポツリと降りていく人を見かけたが、どうやって生活しているか真剣に考えてしまうほど人が暮らすには向いていない場所だと感じる。音別付近からは海を見ながら沼地の中を進んでいく。おそらく道外に住んでいる人には想像できないような荒涼とした風景が広がる。やがて山へと分け入りしばらく進むと古瀬に着く。この駅は一日に停車する列車は下り4本・上り3本しかないという道内でも屈指の秘境駅。この列車は古瀬で対向列車の通過待ちでしばらく停車するので、下車して駅周辺などを散策したのだが本当に何もない。駅へのアプローチが林道だったりと確かに雰囲気は抜群である。どうやらこの駅の訪問を目的としていた人もいたようで、何人かは再びこの列車に乗り込まずに上り列車を待っていた。
「海と丘に挟まれ釧路を目指す」

古瀬を出て山を抜けると久々に人気を感じさせる風景に変わる。白糠の街だ。ここまでくると終点の釧路はもうすぐ。道路と平行しながら街中を進み17時38分、遠路はるばる300キロ以上離れた釧路に定刻で到着した。乗り通したという大きな達成感と共に疲れがどっと押し寄せてきた。ホテルに荷物を置いて釧路の街を散策、夕飯を食べて戻ってくるとグッタリしてしまった。久々のベッドだ。しっかり寝て明日へ備えようじゃないか。
7月19日:
苫小牧(6:12)→室蘭本線普通1463D→岩見沢(7:41/7:57)→函館本線普通129M→滝川(8:39/9:38)→根室本線普通2429D→釧路(17:38)
次回は7月20日です。湿原から博物館まで大移動。