車内放送で目が覚める。どうやら列車は直江津を発車したところのようだ。車内を見渡すとだいぶ人が減っていた。北陸までの客や直江津経由で長野へ向かう人が多かったのだろうか。車内には朝ののんびりとした空気が流れていた。まだ自分が降りる新津までは時間があるのでゴロゴロしていよう。
長岡を過ぎると車内がにわかに慌しくなってきた。その賑わいに急かされるように自分も着替えをはじめる。新津に到着し、「きたぐに」はここから快速列車として通勤通学輸送に変わる。自由席への大量の乗客を横目に見ながら磐越西線乗り場へと向かった。「きたぐに」が出て行ってから約20分、磐越西線の快速「あがの」がやってきた。快速なので混んでいるだろうと思っていたら意外と車内が空いており、ボックスシートを一人で占有できた。五泉、馬下でほとんどの客は降りてしまい、車内は数人しか残っていない。リュックにもたれかかってウトウトしていると、いつの間にか列車は山都に到着していた。このあたりから会津若松への客で再び車内は賑わいはじめ、喜多方でそれなりに客を乗せ会津若松に到着した。空はいつの間にか快晴に。最後に天気は自分に味方してくれたようだ。
「新津駅に停車中の「きたぐに」」

乗り換えに2時間少々時間があるので周遊バスを使って鶴ヶ城へ。白虎隊で有名な飯倉山には昔来たことがあるが、鶴ヶ城は今回が初訪問だ。城内に案内板が少ないため迷いそうになりながらなんとか天守閣と庭園を見学し、再び周遊バスで駅へ。若松の街は城下町ということもあってずいぶんと道が狭い。こういう場所こそ観光には周遊バスが便利だ。駅に着くとちょうどいい時間だ。弁当を買っていざホームへ。ちょうど会津鉄道のAIZUマウントエクスプレスが発車していった。
「鶴ヶ城」

4番ホームに降りると只見線の列車が入ってきた。この旅行は日本屈指のローカル線であるこの只見線で〆ることにしようか。車内は結構な混雑だ。やはり交通事情が悪いこの地域で、それも1日数本しかない路線だと客も固まるのだろうか。会津坂下や会津宮下でひと呼吸置きながらゆっくりと山を登っていく。会津川口が近づくにつれ雪の量が増えていく。短区間でほとんどの客が降りるのではないかと予想していたのだが、会津川口まではそれなりの数が乗り通した。ここまで来ると完全に車窓は雪景色で、雪で完全に覆われた道路や踏切が印象的だ。ここは豪雪地帯なのでここまで積もってしまうと除雪は不可能なのだろう。只見に到着し、ここでまた小休止。数少ない乗客もほとんど下車し、車内は自分含め3人になってしまった。
「川に沿って会津川口駅に進入」

只見を出るといよいよ六十里越えで会津から越後へ。二つの県を繋ぐ貴重な道路は完全に雪に覆われ車が走ることはできない。屈指のローカル線である只見線が現代に存在している理由はこの一点にあると言ってよい。本数は少なくても二つの県を結ぶ貴重なインフラなのである。冬季休業の田子倉駅を過ぎると長いトンネルに入った。キハ40が重苦しいエンジン音を上げながらジワジワと坂道を登っていく。しばらくしてエンジンが鳴り止み、今度は転がるように坂を下る。トンネルを抜けるとまるで水墨画のような風景が広がり、その中をしばらく走ると大白川に到着。実に20分を要する険しい峠越えであった。
「豪雪で通行止めになった道路を見ながら峠越え」

ここから小出までは乗降もなくガラガラ。日も沈み景色もやや単調になってきたためウトウトしていると、いつの間にか小出に到着していた。上越線の列車までにはまだ50分近く時間があるため、みどりの窓口で後日乗るSLの指定席が空いてるか聞いてみると、なんと空きがあるとのこと。発売日からずっとトライしていたのだが、空きが出ずに諦めようと思っていたところだったのでこれはラッキーだ。
上越線で越後湯沢に到着、ここからついに九州編のラストランナーである上越新幹線に乗って一気に東京へ。待合室で時間を潰してホームへあがる。「Maxと」きの2階席はすごく久しぶりだ。2階なら新幹線特有の高い壁に眺望を遮られないのでゆったり窓の外を眺める。この列車は越後湯沢を出ると一気に大宮まで飛ばす。街の明かりがどんどん後ろへと流れて、1時間足らずでもう大宮に着いてしまった。
埼京線と併走し、見慣れたビル群が見えてきた。ついに東京に帰ってきたのだ。安心したような、寂しいような気分になる。旅の終わりはいつもそうだ。そしてまたどこかへ行きたくなる。自分は一生これを繰り返して生きていくんだろう。しかし手間はかかるが悪い気はしない。上野からは見慣れたステンレスの車両と併走する。越後湯沢から1時間20分で東京まで来れてしまうとは・・・。只見線なら会津川口にすら着いていない。あちらが過去の鉄道なら、こちらはまさに未来の鉄道だ。そして今、上越新幹線「Maxとき」348号はは定刻に東京に到着、12日ぶりに地元の地を踏みしめた。
「無事到着。」

今回は久々の長丁場な旅だったので若干の不安もあり、案の上トラブルもあったが自分が行きたい・見たいと思っていた目的をほとんど達成でき、美しい景色あり、いい車両あり、人情ありと非常に充実した旅行だった。そして何より日本の鉄道路線全線制覇に向けてほぼ王手をかけることができたのは嬉しい。
一週間のインターバルを置いて今度は北海道へ。これで自分は乗り潰しに一つの区切りをつけるつもりだ。ゴールにはどんな景色が待っているのだろうか。様々な感情があるが、きっと着けば全て吹っ切れるだろう。今はただ、楽しみにするとしようか。
2月4日の行動 :
新津(8:38)→磐越西線快速「あがの」→会津若松(10:42/鶴ヶ城観光/13:08)→只見線普通427D→小出(17:42/18:32)→上越線普通1746M→越後湯沢(19:12/20:08)→上越新幹線「Maxとき」348号→東京(21:20)