ゴーッという音で目が覚める。どうやら青函トンネルを通過中のようだ。やがて青函トンネルを抜けて北の大地が見え、夜も徐々に明けてきた。11月に乗車した時より日の出は早い。駒ケ岳の麓をカーブしながら下り、森から海岸線を走るが生憎の曇り空で朝日は拝めず。それにしても意外と雪が少なくてビックリした。海岸線ということもあるのだろうが、今年は本当に暖冬のようだ。東室蘭を過ぎるといよいよ車窓が賑やかになってきた。ちょうど車掌が記念グッズの販売にきたのでキーホルダーを購入。これから先北斗星に乗る機会は一気に減ると思われるのでいい記念になった。降りる支度をしていると右から函館本線と併走し、北斗星は1分の遅れもなく北の大都会、札幌に滑り込んだ。駅で友人と合流し、特急「スーパーカムイ」に乗り込み降りたのは深川。そう、自分の日本の鉄道路線全線完乗のフィナーレはここから分かれている留萌本線だ。
留萌本線は深川と日本海沿岸の増毛を結ぶ路線で、かつては留萌から羽幌線が分かれるなど重要な路線だった。しかし羽幌線は廃止され、現在は運転本数も1日上下数本、支線がなく優等列車も走らない妙な「本線」となっている。自分は全線完乗を意識してから、どこでそれを成し遂げるかということを色々考えていた。いくつかの候補の中で自分が求めていた「終着駅であること・定期列車がある(臨時開業の駅は除外)・できるだけ寂しい場所」で考えた結果、この増毛駅が選んだ。そのためこれまで乗車できる機会は何回もあったのだが今回まで温存しておいたのである。駅で弁当を食べてのんびりしていると改札がはじまり、橋を渡ってホームへ降りるとキハ52がドアを開けて待っていた。さあ、いよいよ最後の旅路だ。
最初はそれなりに乗客がいたのだが、石狩沼田ままでの間に半数以上が下車し、早速ローカル線の雰囲気が漂う。どの駅の駅舎も古く、時代から置き去りにされたように感じられる。峠を越えていよいよ日本海側へ。山が後ろに下がって景色が開けてくると留萌に到着。ここでほとんどの客は下車し、車内には自分を含め3人だけ。羽幌線の線路跡と分かれ、いよいよ列車は日本海に沿う。今にも雪が降り出しそうな曇り空の下で、冬の海が波飛沫をあげている。乗降はなくとも1両分しかない板切れホームに丁寧に停車しつつ、山と海に挟まれた狭い平地を進む。海岸線に沿って逆S字カーブを曲がると建物の向こうに駅が見えてきた。14時46分、わずかばかりの客を乗せて列車は静かに増毛に到着。自分は日本の鉄道路線全線完乗を達成した。冬ということもあってか、かつてニシン漁で賑わったこの街も、今は人影もまばらで哀愁が漂っている。そんな中で自分は達成感と寂しさを感じ、しばし無言で立ち尽くした。
折り返しまでの50分程友人と増毛の街を散策する。この時期は餌が少ないのか2回ほどカラスの襲撃を受けつつブラブラ。結構古い建物が残っており、冬の海風が身に染みるが面白かった。再び列車に乗り込んで来た道を折り返す。相変わらず客もまばらだ。のんびりと峠を越え、日が沈み昼から夜に変わる頃、通学客の少しの賑わいを乗せて深川に到着した。深川から特急でサクッと札幌に到着。今日はさっぽろ雪まつりの最終日、3年前と変わらず賑わっていた。会場をぐるっと一周し、友人の下宿先近くにあるスープカレー屋で夕飯を食べたのだが生ラムがとても美味しい。これはいままで自分が食べたスープカレーの中で一番好みかもしれない。
今夜は友人の家にお邪魔する。札幌駅近くなので移動は楽だが明日は早い。ある程度は寝ておこう。
札幌(11:15/11:30)→函館本線特急「スーパーカムイ」17号→深川(12:32/13:23)→留萌本線普通4927D→増毛(14:46/15:48)→普通4932D→深川(17:13/17:17)→函館本線特急「スーパーカムイ」44号→札幌(18:20)
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